
なにが せいかいで
なにが まちがっているのか
あのこには わからない。
くさきといきるあかるさと
くさきにけされるわびしさと
ひかりもかげもまぜこんで おしまいには おおきなうみになる。

ザ・キャビンカンパニーさんの展覧会に行ってきた話。
キャビンカンパニーさんの世界は
自分には
ヒリヒリする。
スースーする。
目を逸らしたら負けだよ。
馬に、イカに、ふくろうに、字面に、そんなふうに言われている気がした。
人間以外のすべてが、私を見張っている。
四方八方からヒソヒソと指さされ、
見物に来たはずが、見物されている。
ちょこんとのった、アーモンド形の目。
どこからか クスクスと笑い声が聞こえる。
この世界全部まるごとまぼろしだよ、と言われているよう。
いったい、どれほどのものを諦めたのだろう。
どれほど手放し、どれほど捨ててきたのだろう。
清濁併せ呑むと決めた、諦めと静かな覚悟を感じた。
字さえ躍っていた。
展示されていたものを、これはこういうものでね、と解説しようものなら、
またクスクスと笑い声が聞こえてきそうだった。
「懐かしい」が、苦しい。
自分のなかにとっぷりと溜まった違和感がもぞもぞと動きだす。
どうかこのままそっとじっとしていてくれますように。

めぐり合わせで、なんとなんと二度も、キャビンカンパニーさんと言葉を交わす機会に恵まれた。
一回目は宮崎県木城町での図書祭りで。
二回目は先週の金曜日。
大分県の美術館でちょうど公開制作日に居合わせることができた。
もし、もう一度会えたなら、三度目の正直、私の脳みそ
会えるかもしれないし、会えないかもしれない。
そんなのはわからない。そのわからなさが楽しい。
とにかく気になる。
キャビンカンパニーさんの海

そこから水の流れをたどって山の中の芸術堂までたどり着いたら、
その源泉をのぞきこんでみたい。
ぽこぽこと湧き出す場所、
シューシューと湯気が立つ場所、
なんの変哲もない場所かも。
掘り続けるお二人の姿を見てみたい。
自分の足で、奥へ奥へと運ばれて行きながら、
パシャパシャと写真を撮った。動画も撮った。
あとで見返そうと思って。
パシャパシャと写真を撮って少しでも持ち帰ろうと、必死だった。
けれど、あのときあの空間で私が見たものは、なにひとつ映っていない。
撮影OKだったのは、そうか、私はからかわれていたのか。
鏡に映らないヴァンパイアみたいに、
ついこないだ、葬式でのぞき込んだじいちゃんの亡骸みたいに、
キャビンカンパニーさんの言葉を借りるなら、
写真にはからっぽの「がらんどう」だけが残っている。
もっと肉眼で見ればよかった。
撮らなかったとしても、どうせ同じことを思うんだけど。
目に焼き付ける力が弱くなってる。いろいろ遠い。
じっとしてると不安になる。
写真を撮るとほっとする。
なにも思い浮かべられない。
今日あったことさえ、何も思い出せない。
それさえも、大きな袋に包まれて「そういうものよ」と言われている気がした。
あんなに夢中で撮った写真は、
展覧会で見たものや気持ちを 文字に変えていくのに、
ちっとも役に立たなくて笑えてくる。
こんなのわかっていたはずなのに。
「絵本は、整えたものだ」
とお二人の言葉で、書いてあった。
見に行けばわかる。
是非!!
せっかくの展覧会、
次から次へとごちそうが並ぶのに
よく噛みもせずあわてて飲み込んでしまった。
よく噛んで食べなさいと
いつも子供には言うのに。
公式HP https://the-cabincompany.com/
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